あざ
あざ
あざには、その色調によって「赤あざ」「青あざ」「茶あざ」「黒あざ」があります。それぞれ病態は違うもので、正確な診断を行うことが適切な治療につながります。それぞれについて説明していきます。
「赤あざ」の原因は体表面の血管の異常です。例外もありますが、血管の病変なので表面から見た色調は赤くなります。血管内皮細胞が腫瘍性に増殖するものを「血管腫」、増殖ではなく形態やもともとの数の以上を「血管奇形」と呼びます。以前はこの病態をひとくくりに「血管腫」と呼んでおり、いまだに医師の間でも混同していることもあるようですが、学会での働きかけもあり、近年では形成外科医の中ではこの区別は常識になりつつあります。
俗名のいちご状血管腫という名の通り、典型例ではいちごのような外観を呈します。一般的には生まれた時はなく、生後数日から2~3週間で出現することが多いです。1歳頃をピークに増大していき、その後ゆっくりと時間をかけて縮小していきます。小学校に上がる頃にはほとんどわからないぐらいになることが多いですが、一旦膨らんで大きくなったその跡は、皮膚がたるんだように残ることもあります。増大のピーク(1歳ごろ)までに治療を行うと増大を抑えることができ、治癒期間の短縮、跡が残りにくくなるといったメリットがあります。
また、部位によっては治療を急ぐこともあります。目の周りや鼻の周り、喉の周辺などにできた場合は、視機能、呼吸機能に問題が生じる恐れがあるため積極的に早期治療を行います。一昔前までは手術で切り取るということもしていましたが、近年では内服治療という選択肢があります。
乳児血管腫の中には「皮下型」というものもあります。皮膚の下に生じるため、典型例のように「いちご状」を呈することはなく、皮膚の表面は平滑で青みがかった色調をしています。しかし増大するのは同じで、徐々に盛り上がってきます。外観が典型的ではないため、他の血管腫・血管奇形と鑑別診断することが大切です。
治療:色素レーザー、へマンジオルシロップ内服
俗名では「血管腫」や「母斑」という言葉がつきますが、これは毛細血管の奇形です。生まれつきの先天性奇形であるため、生下時より存在します。先に説明した乳児血管腫のようにどんどん増大することはないですが、消えてなくなることもありません。当初は淡い赤色だったものが、成長とともにはっきりとした赤色に変わっていき、大人になるまで放置すると表面が厚くなったりボコボコしてくることもあります。診断がついたら早めにレーザー治療を行う方が良いと考えます。
同じ毛細血管奇形でも、おでこの付近にできる「サーモンパッチ」、うなじ付近にできる「ウンナ母斑」は自然消退することが多いため、経過観察のみとすることもあります。
治療:色素レーザー
青あざの正体は「真皮メラノサイトーシス」です。皮膚の真皮レベルでメラノサイト(色素細胞)が増殖し、メラニン色素を産生することで青く見えます。メラニンといえば茶色や黒色のイメージですが、それは表皮レベルで見た場合です。真皮は皮膚の少し深い部分ですので、そこに集まったメラニンは青く見えます。これは深い海が青く見えるのと同じで光の屈折のせいです。赤い血が流れている血管が、皮膚を通すと青く見えるのも同じ理屈です。下に挙げるものはいずれも「真皮メラノサイトーシス」です。
顔面の主に片側に生じる青あざです。1939年に太田医師が始めて発表した疾患なのでこの名が付けられています。これは三叉神経の支配領域(おでこ、目の周り、頬部、鼻など)に生じます。生後しばらくして出現するもの、思春期ごろに出現するものがありますが、成人以降に出現する遅発性真皮メラノサイトーシス(ADM)というものも同じ病態です。これらは消えてなくなることはありませんが、レーザー治療が良く効きます。
治療:Qスイッチルビーレーザー
蒙古斑といえば、蒙古人(モンゴル系民族)のおしり付近に多く見られる青あざですが、異所性蒙古斑とは、それ以外の部位(異所)に生じる蒙古斑です。おしり付近の蒙古斑は、だいたい小学校入学時ごろに自然消退するので治療を要しないことが多いですが、異所性蒙古斑、特に色調の濃いものは、自然消退せずに残ることもあります。しかも下着などで隠れない部分に関しては、見た目が気になるということもあり治療対象となることもあります。これもレーザー治療が良く効きます。
治療:Qスイッチルビーレーザー
只今準備中です。随時更新していきます。
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